求人広告は見た目が8割!第一印象で応募者を惹きつける方法

求人広告の制作において、「どのような見た目にするか」は非常に重要なポイントです。パッと見たときに感じる第一印象こそがPVや応募数を左右すると言っても過言ではありません。求人広告内でどれほど良い採用条件を掲げていたとしても、あるいは、どれだけ打ち出し内容に凝っていたとしても、見た目が悪ければ求職者に読んでもらうことさえできません。狙った採用ターゲットに、届けたい内容を見せるためには、まず目に留めてもらうことが大事です。

今回は、私が「求人広告は見た目が8割」と考えるに至った理由と、具体的に行っている制作上の工夫をお伝えします。

人間は物事を「第一印象」で決めている

かつて「人間は見た目が9割」という書籍が流行ったように、人間は第一印象に左右されやすい生き物であるということは既にご承知のことかと思います。前述した書籍は非言語的コミュニケーションの重要性について述べる内容であるため、本来伝えたい内容と若干のずれはあるかもしれませんが、それでも私たちは常日頃の実感として「見た目」や「第一印象」の重要性をわかっていることでしょう。

見た目や第一印象に関する研究は数多くされていますが、今回は私が求人広告を作る上で意識している研究結果や通説を3つご紹介します。

・画像認識速度は約0.013秒
・初頭効果
・瞬間印象

画像認識速度は約0.013秒

MIT(マサチューセッツ工科大学)が2014年に発表した調査結果では、人間はわずか約0.013秒で画像を認識し、判断していることが明らかになりました()。この研究結果は、それ以前までにあった「人間は視覚情報を0.1秒で識別している」という通説を大幅に塗り替えるものでした。
※参考:“In the blink of an eye”(MIT、2014年)

このことから、人間はごくわずかな時間で「その画像が見るべきものか、あるいは見る価値のないものか」を判断しているといえます。

初頭効果

初頭効果とは、最初に与えられた情報が後々まで影響を及ぼすという心理的な傾向のことです。「人間は第一印象のイメージを引きずる」と言い換えてもよいかもしれません。これはポーランドの心理学者であるソロモン・アッシュ氏により提唱された考え方で、人間は初めてのときに感じた印象が、その後も長くイメージとして残りやすいとされています。

瞬間印象

私はこれをあくまで通説だと捉えていますが、よく言われているものとして「瞬間印象」が挙げられます。瞬間印象とは、人間が一瞬のうちに直感で感じる印象のことを指します。この説によれば、人間は第一印象における83%を“パッと見”で決めてしまうそうです。その判断にかかる時間は、わずか0.6秒~6秒ほどとのこと。

上記を踏まえると、人間は何か新しいものを目の前にしたとき、わずか1秒以下の短い時間で「見るべきか、見ないべきか」の取捨選択をしていると言えるでしょう。

求人広告における「見た目」の役割

求人広告においても、見た目は非常に重要です。どのような第一印象を与えるか、何を情報として見せるかによって、その先のPVや応募率は大きく変わります。悲しいことに、どれだけ雇用条件を良くし、働く環境にこだわったとしても、その魅力を伝える求人広告の見た目が悪ければ、そもそも記事を開くという1クリックにすら至らないのです。

普段から私たち制作者は、魅力を引き出す取材や、ターゲットニーズに合わせた文章表現にこだわっています。しかしながら、正直なところ、こうした工夫も記事の中身を読んでもらわなければ意味がありません。大手転職サイトには日々、数百~数千の求人広告が掲載されています。数多ある掲載求人の中から採用ターゲットに見出してもらうためには、まずは目に留めてもらうということが重要なのです。

求人閲覧~応募に至るまでのステップ

人間の広告への反応は順序に従って起きると仮定した「広告効果の階層モデル()」をベースに考えると、採用ターゲットからの応募を獲得するためには以下のステップを踏む必要があります。
参考:「広告によるマーケティングと消費者心理に関する研究」(東京家政学院大学紀要 第46号 P.63 表1、2006年)

①認知(unawareness)

求職者が企業や事業について知っている。

②理解(comprehension)

求職者が企業や事業について知っているだけでなく、採用条件や働く環境、企業の在り方について理解している。

③革新(conviction)

求職者が採用条件や働く環境、企業の在り方を好意的に捉え、求人応募を考えている。

④行動(action)

求職者が実際に応募したり、面接日程の調整などの行動を取る。

大半の転職メディアは、求職者からの応募を1クリックで済ませられるようシステム化されています。とはいえ、その1クリックが案外重いもの。あらかじめデータベース上にWeb履歴書や職務経歴書を埋めておく必要があったり、そもそも心理的なプレッシャーがかかったりと、想定以上の負荷を乗り越えなければなりません。

応募を得るためには、先ほどのステップをなるべく早く深化させる必要があります。求人広告の第一印象を工夫することで、①認知と②理解のステップをスピーディーに進めることができれば、おのずと③革新の「この会社が好き」あるいは「もっと詳しく知りたい」フェーズへ進む求職者の割合も増えるでしょう。

求人広告の見た目を工夫する方法

掲載中の求人広告を採用ターゲットの目に焼き付けるためには、パッと見たときの印象づくりが肝心です。職種コードやキーワード検索から遷移した検索画面一覧、あるいは転職サイトのTOPやピックアップには、日々いくつもの求人広告が表示されています。ずらりと並ぶ画像バナーや一覧専用画面の中で、目当ての求人情報をクリックしてもらうためには、見た目に工夫を施す必要があります。

私が求人広告の「見た目」を考える際、意識しているポイントや工夫している点は以下の通りです。

写真や画像の質にこだわる

文字は読まないといけませんが、画像はパッと見ただけで印象を想起させることができます。1秒以下で物事を伝えようとしたときに、あれこれ文字を書き連ねるよりも、イメージに合う画像をつける方が効果的だと言えるでしょう。多くの場合、求人広告には画像バナーやイメージ写真を掲載する箇所が用意されています。そこに何の画像を使うのか、あるいはどんな人物の写真を使うのかによって、与える印象を大きく変えることができます。

どのような画像や写真を使うべきかは、企業として見せたいイメージや採用コンセプト、職種や地域性など、ケースによって異なりますので、絶対的な正解というものはありません。一方で、画像や写真によって広告が嫌われる・避けられる原因は共通しています。

<例>
・画質が悪い、解像度が悪い
・全体的に暗い、ぼやけている
・ごちゃごちゃしていて何を映したいのかわからない
・色合いが悪い。のっぺりしている、あるいはチカチカする
・文字を載せている場合であれば、細かくて読みづらい など

写真については、最近はスマートフォンのカメラ機能も向上しているため、iPhoneや手持ちの携帯で撮影したものでもじゅうぶん広告に利用できます。日ごろからInstagramや自撮りを楽しんでいる従業員がいれば、その人に頼んで撮ってもらうのも良い手です。

写真の撮り方のコツは以下の通りです。

なるべく均一な明るさで撮る

影がかかりにくいため、曇りの日や間接照明の多い空間はうまく撮りやすいです。全体的な明るさも意識しながら、午前中の日射しが柔らかいうちに撮影するのもおすすめです。直射日光が降り注ぐ中やスポットライトの真下は、顔に影がかかったり、明暗のコントラストが強く出すぎることがあるため案外難しいかもしれません。

集合写真は肩を寄せ合う

集合写真で人と人の間にすきまがあると、なぜか不仲に見えがちです。実際に写真に撮ってみるとわかりますが、思っている以上に距離を詰める方が収まりがよく見えます。私はよく「肩と肩が離れていると、心の距離も離れているように見えてしまうので、もっと詰めましょう!」と撮影協力のお願いをしています。

マスクは外してもらう

コロナ禍以来の流れとして、マスクをつけたまま撮影するケースが増えています。もともと求人用の写真撮影は社員から快く受け入れられないことが多いものですが、マスクをしていると顔を隠せるため、外さないまま撮影する人が多くいます。しかしながら、口元が隠れてしまうと表情が伝わりにくくなるだけでなく、パッと見たときに「マスクの白色」が強く印象づけられてしまうため、おすすめしません。撮影時にはシャッターを切る一瞬だけでもいいので、マスクを外してもらうように呼びかけましょう。

職種タイトルや見出しにこだわる

職種名を記載する箇所や、キャッチコピーとも呼ばれる見出しは、表示サイズも大きいため求職者の目に留まりやすい部分です。いかに限られた文字数の中で、伝えたいメリットや特長を詰め込むかが成功の鍵を握っています。

福利厚生や待遇など、働きやすいポイントを入れる

充実した福利厚生や待遇面を打ち出すことで、現状の働き方に悩んでいる採用ターゲットや、さらに好条件の職場を探している人にアプローチできます。

<例>
・年間休日120日以上
・残業ほぼなし
・賞与▲ヶ月分
・リモートワークあり など

その会社ならではの特長を入れる

業界内における立ち位置や、競合他社にはない特長や特色を打ち出すことで目に留まりやすくなります。

<例>
・創業▲年
・プライム上場
・連続黒字経営
・業界トップクラス
・新鋭ベンチャー など

ユニークな言葉で語りかける

企業カラーや制作コンセプトにもよりますが、喋り言葉やキャッチ―な表現、語呂のいいフレーズを用いることで、「おっ」と求職者の手を止める効果が期待できます。もちろん、むやみやたらに面白くすればいいというわけではありません。あくまで求職者の転職ニーズや、募集ポジションとのマッチングを踏まえた上で作ることが大切です。やみくもに目立てばいいというわけではありません。クリエイターのエゴになっては本末転倒です。

言葉の「ヌケ」感を考える

限られた文字数いっぱいに情報を詰め込もうとすると、漢字だらけになってしまう場合や、全体的なバランスが悪くなる場合があります。あくまで第一印象の向上を意識しながら、言葉の「ヌケ」や空白、語呂を意識しましょう。寿限無寿限無…と読みづらくなってしまっては、せっかく伝えたかった情報も入ってきません。

一覧画面に表示される箇所を工夫する

検索結果一覧画面などには、求人広告における詳細内容の冒頭または一部が転載されるケースが多くあります。どの部分に何を書けばどこに反映されるのかを意識しながら、求職者がパッと見た時点でメリットがわかりやすく伝えられるよう工夫しましょう。

<例>
・勤務地欄の冒頭に「転勤なし」や「最寄り駅」を書く
・仕事内容の冒頭に「未経験歓迎」や「研修体制あり」を書く
・年収例を書く(給与額が一覧画面に表示されない場合でも、年収例は記載される場合があります) など

まとめ

せっかく求人掲載を行うのであれば、見た目で損はしたくないもの。パッと見たときの第一印象を意識して制作することで、求職者からの反応や応募モチベーションは大きく変わります。「何を見せたいのか」「どんなイメージを想起させたいのか」を考えながら、掲載する画像や文章にこだわりましょう。

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